受賞者決定のお知らせ

第43回巖谷小波文芸賞受賞決定のお知らせ

令和4年度の巖谷小波文芸賞は、去る9月15日の選考委員会におきまして、下記の通り決定いたしました。ご報告とともにお力添えを感謝いたします。

第43回巖谷小波文芸賞
賞状・賞牌(巖谷小波レリーフ)・副賞50万円

第43回巖谷小波文芸賞受賞

岡田 淳(おかだ じゅん) 兵庫県

贈賞理由

1979年「ムンジャクンジュは毛虫じゃない」で作家デビューして以来、『放課後の時間割』『学校ウサギをつかまえろ』『びりっかすの神さま』『ふしぎな時間割』など、長年の小学校の図工教師体験をもとに、独自の視点から生き生きとした子ども像を描き出し、自ら挿絵も描きながら、多くの読者に親しまれてきた功績は大きい。また、『二分間の冒険』『扉の向こうの物語』(赤い鳥文学賞)、『こそあどの森の物語』シリーズ(野間児童文芸賞)、『選ばなかった冒険』『図書館からの冒険』など、ユニークで意欲的なファンタジー作品で、物語の可能性や楽しさを子ども読者に伝え続けてきていることを高く評価して、巖谷小波文芸賞を贈賞したい。

受賞者からのメッセージ

小学校の図工の先生をしていました。低学年の授業に、お話を聞いてその場面を絵に描くというのがあります。その授業のために、おもしろい場面がいっぱいあるお話を考えました。授業のあと、そのお話をもとに原稿用紙に書きはじめると、ことばで物語ができあがっていくことにわくわくしました。授業から五年のちに、それは本になり、それが作家活動のはじまりです。その最初の本『ムンジャクンジュは毛虫じゃない』から43年、ずっと作品を作り続けています。「わくわく」というのが、いまも続いているからです。
多くのかたのお力添えがなければ、いくら「わくわく」してもかたちにはなりません。ぼくはそういうかたがたにめぐまれているのだと思います。
名誉ある賞をいただけて、とても光栄です。この賞がぼくのこれからの「わくわく」を後押ししてくれると思います。ありがとうございます。

略歴

1947年兵庫県生まれ。神戸大学教育学部美術科を卒業後、西宮市で38年間小学校の図工教師を勤める。その間から作品を発表。『放課後の時間割』で日本児童文学者協会新人賞、『扉のむこうの物語』』で赤い鳥文学賞、「こそあどの森の物語」シリーズ(1~3)で野間児童文芸賞、国際アンデルセン賞オナーリスト選定、同シリーズ番外編『こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ』で産経児童出版文化賞大賞など受賞。他に『二分間の冒険』『びりっかすの神さま』など。エッセイ集に『図工準備室の窓から』がある。

(敬称略)

選考委員(五十音順・敬称略)
巖谷國士
さくまゆみこ
野上 暁
百々佑利子

第60回久留島武彦文化賞受賞決定のお知らせ

令和4年度の久留島武彦文化賞は、去る9月14日の選考委員会におきまして、下記の通り決定いたしました。ご報告とともにお力添えを感謝いたします。

第60回久留島武彦文化賞
【個人賞】
賞状・賞牌(久留島武彦レリーフ)・副賞10万円

第43回巖谷小波文芸賞受賞

藤巻愛子(ふじまき あいこ) 山梨むかしがたりの会代表 山梨県

贈賞理由

藤巻愛子さんは、2001年に「山梨むかしがたりの会」を創設以来、子供達をはじめ多くの方々に甲州弁で民話を語る活動を続けてこられた。活動の中心は山梨県であるが、甲州弁で民話を語る活動は、方言の豊かさ、それらを語り継ぐことの大切さを全国に啓発するものである。また、活動の幅が広く、地元ラジオ局を通して昔話などを語る活動や、会の活動の継続性や質の向上を図る語り手の養成・研修、「語りテキスト 甲州弁の民話」の発行、保護者・保育士・図書館職員などを対象とした講座などにも力を入れ、質の高い活動を継続されている。藤巻愛子さんの活動は、まさに久留島武彦文化賞に相応しい活動であると、選考委員一致で決定した。

受賞者からのメッセージ

日本民話の会に所属し仲間と昔話の採訪をし、語りの会を開き、民話についての研究会をし、研鑽をつんできました。この度、会の推薦で久留島武彦文化賞を賜ることは格別の喜びです。主宰する「山梨むかしがたりの会」の仲間三十四名と共に受賞したものと感動しあっています。私達は、「甲州弁の民話を多くの人に楽しんでもらい、次の世代に語り継ぐこと」を目標に活動しています。山梨では、私達の昔語りは人気があります。子ども達もおおびらに昔語りを楽しんでくれます。昔話の中には、しばしば、いじめや困難に立ち向かう子ども達の姿が語られていて、それらを解決しハッピーエンドに向かわせる昔話は子ども達を勇気づけています。これからも、久留島武彦の座右の銘「継続は力なり」をモットーとして励んでいく所存です。

略歴

1940年山梨県塩山生まれ。武蔵野美術学園日本画科卒業。2001年「山梨むかしがたりの会」を立ち上げ代表となる。甲州弁の民話の継承を掲げ県内はもとより全国各地で公演を行う。2004年から2016年NHK甲府放送局「まるごと山梨・甲州の民話」にレギュラー出演。2006年関東甲信越地域放送文化賞受賞。著書『甲州弁で語る山梨の昔話と伝説』1集、2集(甲州弁民話房)、『甲府くうしゅうの話 かみず』絵本(私家版)、『たぬきえもん』田澤茂 絵(福音館書店)、『武田氏の伝説 信虎・信玄・勝頼三代』(随想舎)、CD『昔話ふるさとへの旅』(キングレコード)。

(敬称略)

選考委員(五十音順・敬称略)
衛藤征士郎
小森美巳
結城昌子
井田 正文

贈呈式の開催は今年も見送ります。

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